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バルセロナをはじめ、欧州なんかだと外国人観光客反対の声が、結構上がっているらしい。
一人旅ならいざ知らず、まぁ海外に行くときは複数人のパーティーを組んで行くことが殆どだから、修学旅行のようなノリで舞い上がっちゃうことなど珍しくはない。
ただでさえ旅行者というのは、相手国のマナーというものに対する無理解があるので、こうした問題が起こってしまうのは致し方ないことだ。
そんな欧州の様子から、
「そのうち京都でも外国人観光客反対の声が上がるんじゃね?」
という声がネットで散見された。
なるほど、"日本人にとっての一大観光地"と言えば、筆頭に上がるのは京都だ。そして、京都が外国人観光客をたくさん集めているのは事実である。
だが、果たして本当に京都で外国人観光客反対の声が上がるだろうか。いや、そりゃネットでは声の大きなユーザーが「外国人観光客反対!!」などと言う京都人がいても不思議ではない。
だが、"京都市がたくさん外国人観光客を集めている"ということと、"京都市全体に外国人観光客が多い"かは、全く別問題である。
もう一つ言うと、ぶっちゃけ京都よりも東京のほうが、外国人観光客は圧倒的に多い。
これは羽田空港と成田空港という2つのアクセスポイント、首都としての知名度から来るアドバンテージもあるが、実は京都に少なくて、東京に多いアドバンテージは他にもある。
まず、ここでは『そもそも京都観光とは何か』ということから見てみよう。
(尚、大阪の実情は全く知らないため、割愛)

醍醐ニュータウン

日本人の思う京都観光とは清水・祇園観光を指す

日本人の国内旅行者で「京都行く・行った」という人に訊いて見てほしい。
「京都のどこへ行く・行ったの?」と。
もう大半が清水寺と答える筈だ。あとはせいぜい金閣寺とか、三十三間堂と言ったスポットが出てくる程度。もうそれくらい、近畿圏以外の日本人にとっては『京都旅行≒清水寺』なのだ。
少なくとも私が知る限り、京都国際マンガミュージアムであるとか、西陣だの木屋町通りで遊んだなど、聞いたことがない。嵯峨であるとか、中書島と言った洛外区間もまず聞かない。
それくらい、多くの日本人の描く京都旅行とは、清水・祇園旅行であるということだと考えて良い。
祇園のすぐ傍には京都市最大の繁華街である河原町があるのだが、河原町で関東弁を聞くことが殆どない。美味いものを食いに行こうと考えた人は、大阪に行ってしまうのだ。
そして、外国人の思う京都は、それよりもう少しだけ、範囲が広くなる。


外国人観光客はほぼ祇園と嵯峨に集中する

外国人観光客の思う京都観光が清水・祇園から少し対象が広がるとは言ったものの、現実には嵯峨が加わるだけである。京都に尋ねる外国人はほぼ祇園と嵯峨に集中する。特に嵯峨は7~8割が外国人観光客で、聞こえる日本語と言えばほぼ100%に近い確率で関西弁である。
つまるところ、嵯峨の産業はほぼ外国人観光客に依存した経済になっているということだ。
ここに疑問を感じるなら、一度京都の市中を歩けばわかる。
三条であるとか、御池の辺りを歩いているのはほぼ京都市民か京都通勤者だ。
中京区に至っては先斗町があるものの、昼の先斗町は少し寂しいものがある。洛中とはいえ、二条城のすぐ隣にはゲームセンターとシネマがあるし、西大路御池には島津製作所の三条工場があるなど、平安京から発展した街とは言え、京都の市中を歩いてかつての歴史を偲ぶには想像力(空想力)が必要なのだ。


欧州の都市とは同じ物差しで測れない京都

まず京都という街がどんな街がを、ざっくり言っておこう。
京都と言う街はなんだかんだで大変欧風の価値観を強く受けた街である。
例えば京都でよく消費されるのはパンと珈琲、牛乳だ。意外に思うかもしれないが、抹茶ではない。抹茶は大して消費されていない。だから京都出身の人間ですら、「不味い抹茶を飲むとこに限って京都だったりするんだよね。」などと言いだしてしまう。
一方、喫茶店は美味い店は少なくない。
三条の小川珈琲で出されるモーニングセットはベーコンの香りが大変良いし、ジュバンセルに行った知人は祇園フォンデュに強い感銘を受けていた。フランソア喫茶室のケーキ。これもまた、結構な馳走である。
小川珈琲の
小川珈琲のモーニング。ベーコンの香りが口の中で広がり、心地よい。
「京都で美味いものを食いたければ洋食を当たった方が早い」
とすら考えてしまうほどだ。
井上章一氏の『京女の嘘』でも触れられているが、女子大に至っては京都女子大(仏教系)より、同志社女子(プロテスタント系)の方が、ブランド力がある。松ヶ崎にはこれまた『ノートルダム女学院』というカトリック系の学校があるし、京都で人気があるといわれるパン屋、『進々堂』もまた、創業者がクリスチャンである。
進々堂創業時の理念は「パン作りを通じて神と人に貢献する」であり、現在の京都が平安京の延長に見えて、実はそうではない部分が多いのは、京都市中を訪ねてみるとよくわかる。
もちろん京都に住んでいる市民は、毎日のように外国人観光客を目にするであろう。
ただし、そもそも観光産業の規模が日本とは桁違いのヨーロッパと比べ、京都が受ける外国人観光客の影響は、桜と紅葉の時期を除き、そう大きくはないと思われる。
(ただし、桜と紅葉の時期は別格。宿が取れないため、違法民泊問題が発生する。)
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