ブログネタ
社会人のお勉強。 に参加中!

9条を変えたところで消えない敵国条項

ツイッターではしきりに改憲派と護憲派が争い、その焦点はほぼ9条のみに絞られていると言って良い。
きっとテレビなどでも、話題にされるのは殆ど9条のみで、申し訳程度に緊急事態条項が語られる程度なのだろう。
私の見通しでは恐らく、改憲はなし崩し的に達成されるだろう。
「何となく。」
ただその積み重ねで、改憲は実施されると考えている。世論はそう動いていくだろう。
しかし、だ。毎度のことながら、9条ばかりが語られていることに違和感を感じている。
ハッキリ言って、9条を変えた程度では、"普通の日本人"の言う『強い国・日本』『軍隊を持つ当たり前の国・ニッポン』にはならない。国連の敵国条項があるからだ。
敵国条項がある限り、日本は自力で戦争できる国にはならない。アメリカのお伺いを立てないといけないのだ。
あまり政治的なことは私もわからないが、敵国条項がある限り、連合国にとって日本は北朝鮮より下なのである。
そこを突き詰めると、憲法9条は護憲派とか改憲派以前に、変える意義を全く感じない。


PB黒字化をできないわけで・・・

極私的には、改憲の本丸は9条ではないと考えている。9条の改憲など城で言うなら寧ろ堀。それも外堀程度に過ぎないのだ。
そして、自民党改憲草案の本丸は『基本的人権の制約』にあると言って良い。特に財産権は最も制約したい権利である。
そう思うには、酷過ぎる日本の赤字財政を切って切り離せない。
端的に言って、日本が沈没をしないためには、PB黒字化が必要不可欠だ。自民党も公約に掲げていることでもあり、PB黒字化をしなければ、どこかで借金はもうできなくなるのだ。
借金を返済するには利益を増やす以外にはないということを、前の記事で述べた。
それには法人税を40%(平成元年の税率)まで戻し、社会保障を削る。得てして経営者というのは、減税された分を自分の懐(内部留保)に置こうとするわけだから、トリクルダウンなぞまず働かない。財政出動をしても、それを利益につなげるビジョンがない。よって法人税を上げ、社会保障を削減することが必要である。
だが、社会保障削減を選挙で言うと、流石の自民党でも落選するだろう。だから選挙期間中は絶対に言わない。
そこで考える。
問題を先延ばしにするしか無い以上、どっかのタイミングでドカンと国民の資産を没収する仕組みが必要だ。だが、国民の財産をゴッソリ持っていくことは、現行憲法ではできないと言われている。
現行憲法では、財産権について以下の規定がある。

現行憲法29条1項:財産権は,これを侵してはならない

この財産権は、たとえ政府であっても侵すことはできない。百歩譲って政府が国民の財産を没収して国債をチャラにしようとしても、3項の「正当な"保障"の下、これを公共の為に用いることができる。」というブレーキが掛かっているのだ。
即ち、現行憲法では、以下の図のようなインチキ手段で国債踏み倒しを行うことはできないわけだ。
ぐぺぺーー

自民党改憲草案では、29条の規定は「財産権は保証する」に代わるのだ。
今まで、国家ですら侵すことのできなかった財産権は、国家が保証することになった。
加えてセットで考えなければいけないのが、自民党改憲草案全体を通して『家族主義』と『公の秩序』である。
現行法の『公共の福祉』はいわば、"みんなの幸せの為"という概念だが、公の秩序は国家の体裁のためと言える。
そして、最も忘れてはいけないのが、緊急事態条項である。


家族主義が貴方の財産を奪う

改憲と財政破綻を絡めるなら、警戒しなければならないのは『家族主義』の概念だ。
現行憲法は概ね個人主義の形式だ。憲法13条に「すべての国民は"個人として"尊重される」と規定されている。
改正草案では『個』がすっぱりと消え落ちた。


加えて改憲草案では、家族主義の概念が存在する。
主たる条文は24条。

改憲草案24条:家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない
改憲草案の24条も、これ単体ではそこまで意識する必要はないであろう。
しかし、財産税を課すと言う点では、個人主義より家族主義のほうが、都合が良い。
百歩譲って現行法下で財産税を課せるとしても、『個人で●●万円以上の資産がある人から徴収』という手続きになる。
一方、家族主義を取れば、財産税は『家族の持つ総資産に対して』実施することが可能となる。
具体的に『500万円以上の資産を持つ者から資産税徴収』となった場合、現行法基準ではあくまでも『個人で500万円以上持っているか』が争点になる。だが、改憲下で財産税を実施すると仮定した場合、『家族全体で500万円以上持っている』ことで、資産税徴収の対象になってしまうのだ。
大日本帝国憲法下で行われた資産税は、同居する家族全体の資産合算金額から税率がはじき出された。
今の日本は対GDP比にして230%もの債務を抱え、しかもまだまだ増えるところである。さらに当時とは異なり、核家族化も進んでいることから、当時とは全く違った姿で『家族の資産』を算出するのではないかと考えている。ただし、ソレがどんな姿になるかは、まったく見当もつかないところではあるね。
ただ、一つだけわかることは、資産税は緊急事態宣言の発動から程なくして発令される。そして今の日本には、緊急事態宣言が発令されそうな懸案事項はいくらでもあると言うことだ。
朝鮮半島有事は勿論のこと、大地震(今は地震活動期でもあると聞く)、もっと言えば毎年のようにやってくる台風。懸案事項など探せばいくらでも出てしまうのだ。
勿論、私の想像に大げさなところはあるかもしれない。しかし、危機管理とは最悪の事態を想定し楽観的に行動することである。
今からでも改憲後に訪れる危機を想定し、必要な対策を練っておくことは、悪いことではないだろう。