一部の職種を除き、例え同じ職種でも転社した途端、自分のやり方を捨てなくてはならなくなってしまう。
取り分けコールセンターにはこの傾向が特に強いと思うが、転職を重ねるほどキャリアダウンしてしまう現実はコールセンターに限ったことでは無いと思う。
キャリアダウン、それは即ち「自分のやり方を失う」ことでる。
キャリアアップの転職とは一重にドラクエ式の転職であり、自分のやり方を『構築』して更に良い仕事に就く。現実の世界で達成するのは極めて難しいことは想像に難くないだろう。

現実社会では職を転がす毎に自分のやり方を失わされ、待遇は悪化し、気がつけば雇用形態まで悪化して行く。最悪な行き場は偽装請負。契約書では「貴方のルールでやってください」と言いながら実際には派遣先の言うことを聞かなければならない。働くほどに単価が下がり、派遣先に行くことを考えるだけで気が沈む。
私自身が今、現在進行形で味わっている苦汁であるが、今まさに「偽装請負」として働いている。


最悪な就労形態
数ある就労形態の内、偽装請負ほど最悪な就労形態は無い。
感情的にも、履歴書的にも、金銭的にもどれをとっても良いことが何一つ無い。
では、どんなように最悪なのか。それぞれジャンルを分けて述べていきたい。

・感情面について
これは私の実体験から書かせていただきたい。
ハッキリ言って偽装請負の一番最悪な面は感情的な要素が大きい。
何しろ、契約書には「貴方はフリーランスですから、貴方のやり方でやってください」と書かれているのである。ところが現場に行くと、自分のやり方を捨てるように求められている。
先日、常駐先のSVから呼び出しを喰らったのだが、「貴方は本当に私のことを舐めてくれたものだと思いました」とお怒りの言葉を受けてしまった。お叱りの内容は「アンタはここのやり方に従えないのか?」と言うもので、言っている内容は至って間違ってはいない。少なくともSVが私と派遣会社との契約内容に関して知る由も無いから、なかなか常駐先のやり方を身体に浸透していかない私にイライラしたのかもしれない。
しかしコチラも「契約書上」はフリーランスであるため、ただ一生懸命にやってるだけなのにココまで怒られるのか、と非常に精神衛生上よろしくないのである。

・履歴書面について
残念ながら偽装請負の人間には社保も無ければ雇用保険や労災の類も無い。
ココで疑問に思ったのは、果たして履歴書にこの職歴を書けるのか、と言うことだ。
何せ、転職・転社時には最終的に「雇用保険被保険者証」の提出を求められることが殆どだろう。
当の本人は「派遣社員」として働いているつもりなので、履歴書上は「派遣社員として入社」と書きたくなるものである。ところが雇用保険が無いので、新たな企業に提出するべき雇用保険被保険者証は前の前の会社のものなので、前職との整合性が取れなくなってしまう。
と言うことは、転社時の履歴書には「○○社勤務」と言う履歴を書けず、空白期間にすることになるんじゃないか。
そう思うと、偽装請負で仕事していた期間が長い程職務経歴上は空白期間が長くなってしまうことになる。
空白期間の長期化は就活の足を引っ張る為、履歴書上にも大変よろしくない。

・金銭面について
金銭面に於いてもタチが悪い。
最も悪質なのは、働けば働くほど1時間当たりの単価が下がると言うこと。
死ぬほど残業しても残業代は0円。
自分のやり方は捨てないといけないのに、常駐先の指示に従って残業しても報酬無し。文字通り、『無駄な時間』を過ごすことになる。

偽装請負のままで居て良いのか。
YOUTUBEで小出裕章さんの講演を観ることが多かったのだが、小出さんの言葉で好きな言葉が一つある。
「騙された者には騙されたなりの責任がある」と。
さて、偽装請負についてはどうだろう。
今回の私の事例で見ると、同じ派遣先に4人の人間が派遣されることになった。
皆、実際に現場に行くことが決まった後に契約書を送られ、偽装請負をさせられていることに気付いた。
みんな派遣会社との間での雇用契約が結ばれるものと思って面談に行ったのに、蓋を開けてみたらまんまと騙されたわけである。
ではこの場合、騙された者として果たすべき責任はなんだろうか。答えは簡単。派遣会社と戦うことである。
偽装請負で果たして良いのか。そんな筈は無いだろう。
ならばやるべきことは只一つ、派遣会社と戦うこと。
私は派遣会社と戦うことを選択し、昨日、派遣会社からの電話に折り返しをした。
生憎担当は不在につき、明日の朝、折り返しを貰う予定である。