もし、どんなに頑張っても使いきれないだけのお金をてにしたら、私は絶対働かない。正直にこれを断言できる。

こんな話題を持ち出すのは先日、職場の同僚が発したボヤきがキッカケである。

「もし宝くじで6億円当たっても、やっぱり俺は働くんだろうなぁ。」

『僕は絶対働かないけど、E君は働くん?』

「だって働かないとやることなくて暇じゃん」

これがE君の答えであった。

3年前、就職セミナーにて講師から同じような質問があった。冒頭のことである。セミナーの受講者は13人程いたが、驚いたことに、「働かない」という選択肢をえらんだのは私を含めてふたりだけ。あとの11人は皆、働くことを選んだ。

働く道を選択したメンバーはE君のように暇だから、という理由の人もいたし、働くことで社会に参加していることを実感したい。人に認めて貰いたい。という声が上がってきた。とても立派な理由だ。

会社の人間関係というものはときにウンザリするほど気を遣うが、それでも一日の大半を一緒に過ごす仲間といると、人との繋がりを実感できる。

反面、働かないと言った側は(私ともう1人しかいないが)、あくまで自分のやりたいことが主体だ。

考えてもみよう。なんでもかんでも揃うこの時代。年配の方から言わせると、お金でなんでも買えるこの時代だ。6億円なんて会ったら会社起こしたり不動産投資に手を出して失敗したり、はたまたハイパーインフレが起きて物価異常にでもならないと使いきれないだろう。

PCがあれば電子書籍だって書けよう。それが"他人から認められるかられないか"を別とすると、やりたいことはなんだってできるのだ。そしてやりたいことはたくさんあるのだ。

当時考えたことは、冒頭の問いに対して「働かない」と選択してしまった人間は、会社員に向かないということだ。いや、「働かない」という選択肢が日本人らしくないマイノリティな立場かも知れない。他の国で同様の質問をしたら結果はどうなるかはわからない。

さて、ドラえもんが働く理由はなんだろう。もし私がドラえもんの立場なら、セワシ君の下へ言ってこういうだろう。
「セワシ君、民法では親の遺産を相続しなければ借金から開放されるんだ。だからのび太君の子供に遺産を継がないようアドバイスしてくるよ。」
と。
ところがドラえもんは律儀にものび太の面倒を続けている。ことに、彼ものび太の世話がなければ暇なのではないか。
同僚のE君も口では色々と愚痴をこぼすが、それでも最後には「仕事だからしょうがねえじゃん」
であっけらかんと片付けてしまう。
そんな彼にはドラえもんと似た何かを見た。
私は同じ職場の中で、ドラえもんと働いていたようである。