よくわからないものに契約する?

「わからないのに何で契約しちゃうの?」
スマ放題で契約させられた母に対して、私が放った一言だ。
合理的に考えれば、"わからないのに買う/契約する"というのは、よくわからない行動だ。
私の母は高校時代に日商簿記2級を取っているし、当時は工業簿記はなかったと言っていたが、少なくとも頭のおよろしくない人ではないと思う。
だのに、携帯電話については"よくわからないのに"スマ放題で契約してしまったのだ。

ごく正常に考えて、よくわからないと思ったものは契約するだろうか?
おそらく誰しもがNoと答えるはずだ。

例えば、私がどんなにソフトバンクやドコモのプランに関して正確なことをこのブログに書いても、多分殆どの人は契約しない。
通信業界7年経験してきた私にとって、各業者のプランを正確に書くのは難しくないが、それでも貴方は買わない。
何故なら、ここでどんなに各プランの特徴を書いたところで、"よくわからない"から買わない筈なのだ。
そしてその判断は正しい。
"よくわからない"と思ったものは、買わない/契約しないのが正解なのだ。



契約すること自体が目的化

しかし、店舗に行ったとたん、"よくわからないのに契約してしまう"のはなぜだろう?
契約書は読んでいない、説明は聞いてもよくわからない。なのに契約してしまう。
そこには、店舗にしかできない特有の演出がある筈なのだ。
これは私の経験からくる推測だが、店舗で携帯電話を契約する消費者は、「契約をしたい」という気持ちで契約しているのではないと思える。
感情で言えばWantではなく、mustの感情で動いているのだ。
店舗の中に入ったとたん、"契約しなければならない"という感情に支配されているから、契約書を読まず、内容を全く理解していなくても契約してしまうのだ。

こうなるともう、"契約しなければいけない気持ち"に支配されてしまい、他のものが見えなくなる。
本来、通信契約はネットを使うことで達成したい何かを果たす為に行うものだが、こうなると契約すること自体が目的に変わってしまうのだ。




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